お米の味と選び方

みなさんは、お米を購入するとき、どのような基準で選んでいますか。
多くの方が、
「品種(例:コシヒカリ)」と「価格」
この2つを基準に選ばれているのではないでしょうか。

そこに、
 ・新米かどうか
 ・無農薬栽培かどうか
などを加えて考える方もいらっしゃると思います。

ここでは、日本人にとって最も身近な食べ物でありながら、
意外と知られていない「お米の知識」について、少しお話ししていきます。


味の違いについて

同じ品種のお米であっても、
 ・生産地(主に土壌由来の地力)
 ・生産者(栽培方法や考え方)
などによって、味は大きく変わってきます。


品種による違い

まずはじめに、お米の違いで最も分かりやすいのが「品種」による違いです。
例えばコシヒカリは、強い甘みと粘りが特徴で、一般的に日本人の多くが好む味とされています。
幅広い料理に合わせやすく、「美味しいお米」の代表格として知られています。
ただし、全ての料理に合うかというと必ずしもそうではありません。
寿司やチャーハンなどでは、粘りが強すぎることで食感が重く感じられる場合もあります。

また、味の感じ方には個人差がありますので、必ずしも
「ブランド米=自分にとって一番美味しい」
とは限りません。

だからこそ、まずは品種ごとの味や特徴を知り、その中から自分の好みに合ったお米を見つけることが、お米選びの第一歩だと私たちは考えています。


小規模農家と大規模農家のお米の違い

小規模農家と大規模農家では、お米作りにおける立ち位置や役割が異なります。
まずは、その違いを知っていただくことが大切だと考えています。

多くの小規模農家では、自分たちが日々食べるためのお米を中心に栽培し、余剰分をJAや米屋へ出荷する、という形が一般的です。
つまり、毎日自分たちの食卓に並ぶことを前提にしたお米作りをしているという点が一つの特徴です。

お米は嗜好品ではなく、主食です。
人によっては一日三食、年間を通してお米を食べ続ける方も少なくないと思います。
だからこそ、「毎日食べても飽きないこと」「安心して食べられること」を基準に、丁寧に向き合いながら作られている場合が多いのも、小規模農家のお米の特徴と言えるかもしれません。

ただし、同じ地域・同じ品種のお米であっても味に違いが出るのは、
 「生産者のこだわり」
による生産方法の違いが出る部分だと思います。
多くの小規模農家はお米の生産だけでは生活していけないため、サラリーマンなどの主業ありきで農業をされている方が多く、時間や環境の制約の中で作られている、という現実的な側面もあります。
それが、同じ地域でも農家さん毎に味の違いが出る理由の一つです。
ですので、お気に入りのお米を見つけるためには、お気に入りの農家さんを見つけるということも大事になってきます。

一方で、大規模農家が担っているのは、日本の食を支える安定供給という非常に重要な役割です。
広い農地で効率的に生産することで、多くの人が日常的にお米を手に入れられる環境が成り立っています。
質より量、という言葉で片付けられるものではなく、社会にとって欠かせない存在です。

このように、小規模農家と大規模農家では、
目指している役割や前提条件がそもそも異なる
という点を理解していただければと思います。

市場に多く流通しているのは主に大規模農家のお米ですが、
小規模農家のお米は、手に取る機会が少ない分、作り手の考え方や日常の延長線上にある味を感じていただける存在でもあります。

どちらが良い・悪いという話ではなく、
それぞれの役割と価値があって、日本の米作りは成り立っています。


無農薬・有機栽培について

「無農薬」や「有機栽培」という言葉には、安心・安全といった良いイメージがあります。
実際に、購入の際の条件として重視されている方も多く、通常のお米より高い価格でも選ばれているのが現状です。

一方で、少し知っておいていただきたい前提もあります。
田んぼは屋外にあり、完全に管理された無菌環境ではありません。
天候や病害虫、周囲の環境など、さまざまな外的要因の影響を受けながら作物は育ちます。

農薬や化学肥料を使わないことは、一つの選択肢であり、確かにメリットもあります。
ただ同時に、病害虫のリスクが高まったり、品質が不安定になったりする可能性があることも事実です。

日本で使用されている農薬や肥料は、世界的に見ても非常に厳しい安全基準をクリアしたものだけが認可されています。
本来、農薬や肥料は「楽をするためのもの」ではなく、
作物を病気から守り、健全に育て、安定した品質のお米を作るための手段です。

生産者自身も、自分や家族が食べるお米を作っています。
品質に直結する農薬や肥料に、いい加減なものを使う理由はありません。

無農薬・有機栽培のお米には確かな需要があり、
高い技術と知識を持ってそれを実現している農家さんには、心から敬意を表します。
また、十分に理解した上でその選択をされる消費者の方の考えも、尊重されるべきものです。

私たちがお伝えしたいのは、
 農薬や化学肥料を使用する=危ない、品質が劣る
ではないということです。
ですので、
「無農薬」「有機栽培」
という言葉だけで判断してしまうのは、少しもったいないかもしれません。

どのような考えで、どのような方法で作られているのか。
その背景を知った上で選ぶことで、お米選びの納得感は大きく変わります。

私たちは、農薬や化学肥料を適正に使用することを、やましいことだとは考えていません。
だからこそ、栽培方法についても商品ページにきちんと明記しています。


美味しいお米を知ることのメリット・デメリット

正直なところ、今すでに「安くて美味しい」と感じられるお米を食べられているのであれば、無理にそれ以上を求める必要はないと、私たちは思っています。

よく、生活水準を一度上げると元に戻すのが難しいと言われますが、お米も少し似ているところがあります。
本当に美味しいお米を知ると、自然と舌がその味を覚えてしまい、お米の違いに気づきやすくなるからです。

私自身、生まれた頃から自分たちの田んぼで作ったお米を食べてきました。
そのため、外食をした際にふと、
「このご飯、いつもと違うな。」
と感じることがあります。
決して食べられないわけではありませんし、不味いというほどでもありません。
ただ、比べてしまう自分がいるんです。

そう聞くと、
「じゃあ、わざわざ美味しいお米を知る必要はないのでは?」
と思われるかもしれません。

ですが、炊きたてのご飯を口に運んだときのふわっとした香りや、噛むほどに広がる自然な甘みを感じた瞬間、
「はぁ…美味いなぁ…」
としみじみと幸せを感じるのです。

ご飯を食べて、そんな風に感じた経験はありますでしょうか。
美味しいお米を知ることで、毎日の食事の中に、ささやかな幸せが増える。
それもまた、一つの価値だと思っています。

ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれませんが、全ての人にとって完璧なお米というものは存在しません。

だからこそ私たちは、
「作り手自身が、毎日食べて美味しいと納得できること」
をお米作りの一つの基準にしています。

これは消費者の方の好みを軽視するという意味ではありません。
米作りには必ず基準が必要であり、その基準をどこに置くかという話です。

食に対する価値観や重きを置く割合は、人それぞれです。
私たちは妥協しない米作りを選んでいるため、安さだけを基準としたお米と同じ土俵で勝負するつもりはありません。

もし、
「毎日の食事を少しだけ豊かにしたい」
そう感じているのであれば、美味しいお米を探してみるのも一つの楽しみ方だと思います。

そして、その選択肢の一つとして、
私たちのお米を手に取っていただけたなら、
生産者として、これ以上嬉しいことはありません。